医療痩身は自宅でのダイエットではどう頑張っても脂肪が落とせない部分や、もう少しだけ引き締めたい部分などに対し、ピンポイントで部分痩せさせることが可能といわれています。
医療痩身には、皮下脂肪に薬剤を直接注射し、脂肪細胞を破壊する方法、レーザーや高周波などのエネルギーを照射するマシン治療、脂肪吸引など外科手術による治療などがあります。また、内服薬を用い食欲を抑えたり、食事によって摂取した脂肪分を吸収せず、便とともに排出するなど、さまざまな種類があります。
体質や脂肪を落としたい部位ごとに適した医療痩身の施術を受けるためには、それぞれの方法の特徴を知って、医師の診断の上、痩身を希望する部位や目指したいイメージに合った治療法を選ぶことが重要です。
見た目の印象を変える!医療痩身で皮下脂肪を落とすには
脂肪(脂肪細胞)は本来、体温の維持、骨や筋肉などを体を衝撃から守るクッション、そしてエネルギーを蓄えるなど生命維持に重要な役割を担う細胞です。しかし、脂肪細胞は運動不足や過度なカロリー摂取などの理由により活発に肥大化する性質も持っています。これは肥満といわれ、肥大化した脂肪細胞は糖代謝や脂質代謝に影響をおよぼす「悪玉アディポサイトカイン」を分泌するようになり、結果としてより痩せにくい体質へと変えてしまうのです。
脂肪には「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があります。内臓脂肪は胃や腸など、内臓のまわりにつきやすい脂肪のこと。メタボリックシンドロームなどの生活習慣病に強く影響し、食事制限や運動で比較的増減しやすい脂肪です。
一方、皮下脂肪は皮膚の下に蓄積する脂肪を指し、顔や二の腕、ふくらはぎなど全身どこにでもつきやすいという特徴があります。そのため、すっきりとしたボディラインや見た目にを手に入れるには皮下脂肪の減少が必要です。しかし、皮下脂肪は通常のダイエットでは、減らすことが難しい脂肪でもあります。
医療痩身による治療は、脂肪細胞そのものにアプローチすることで、この落としづらい皮下脂肪も減少に導くことができます。全身痩身はもちろん、気になる部位のみなど、それぞれの希望に合わせて治療をおこなうことが可能なのです。
〇医療痩身での部分痩せ(ボディ・コントゥアリング)
医療痩身では体形=見た目の改善を目的とし、気になる部位の脂肪のみを落とす、いわゆる部分痩せ(部分痩身)ができます。メスを使う施術と比べて、体への負担が少ない薬剤の注入や、マシンを利用して部分痩身(非侵襲型部分痩身)を行う方法で、以下の部位の施術が可能といわれています。
・あご下
・背中
・二の腕
・ウエスト
・ヒップ
・太もも
薬剤の注入・点滴を用いた医療痩身
薬剤の注入・点滴による医療痩身には、食欲を抑制する治療、脂肪細胞を分解する治療、脂質代謝を促す治療などの種類があります。
〇脂肪溶解注射:部分痩せを叶える
脂肪溶解注射とは、脂肪細胞の数を減らす薬剤を皮下脂肪に注射する痩身法です。脂肪溶解注射の主成分(フォスファチジルコリン)は、大豆抽出成分の薬剤で、高脂血症や脂肪肝の治療に使われています。この薬剤を皮下脂肪に注入すると脂肪細胞が破壊され、掃除細胞(マクロファージ)によって便などとともに体外に排出されます。
一度破壊された脂肪細胞は再生することがないので、注入された部位は脂肪がつきにくくなります。頬や二の腕など、ピンポイントで部分痩せを目指す部位の脂肪を狙うことができます。
〇ダイエット点滴:脂質代謝力をアップする
処方は各医療機関によって異なりますが、点滴による痩身法で、主に脂質代謝を促進する「Lカルチニン」や「アルファリポ酸」などが配合されています。「Lカルチニン」は体内の脂質をエネルギーへと変える栄養素で、肝臓や腎臓で作られる特殊アミノ酸の一種です。脂質代謝を高め、太りにくい体質に変えることが可能だとされています。
「アルファリポ酸」は、抗酸化作用を利用し新陳代謝を促すことで、体重の増加を抑えるとされています。また、その抗酸化力により、若々しい肌へと導くエイジングケアにも効果があると関心を持たれています。
ダイエット点滴は脂質代謝を高めるだけでなく、免疫力の向上や疲労回復にも効果があると言われています。そのため、運動によるダイエットと組み合わせることで、効率よく痩身を叶えることができます。
〇カーボメッド:皮下脂肪に炭酸ガスを直接注入
点滴針よりも細い極細針を使用し、医療用炭酸ガスを直接注入して、脂肪を減少させる痩身治療です。医療用炭酸ガスには血中の酵素を放出させる効果があり、注入部位のみが有酸素運動をした時と似た状態になるため、代謝が促進され、痩身へ導く効果があるといわれています。
マシンによる医療痩身
マシンによる医療痩身には、筋肉を鍛えて引き締める治療、脂肪細胞を破壊し体外へ吐き出させる治療、血流を促して代謝力を上げる治療などがあります。
〇医療用EMS:筋肉を鍛えて太りにくい体にする
EMSとはElectric Muscle Stimulation(電気筋肉刺激)のことで、電気刺激により筋肉を収縮させて鍛えるマシンを使った治療法です。筋肉を鍛えることによって太りにくい体質に変えることができます。市販のものと違い、医療現場で用いられるEMSは体の奥深くにまで大きな刺激を与えることが可能なため、効率的な筋肉運動が可能です。特定の部位に対して筋肉強化と基礎代謝力の促進を、無理な運動をすることなく目指すせる、運動が苦手な人向きのダイエットです。
〇リバウンドが少ない、脂肪細胞を破壊する医療痩身
医療痩身は脂肪細胞そのものの数を減らすため、リバウンドが少ないといわれています。
破壊された脂肪細胞はマクロファージ(体内の掃除細胞)による自然な代謝により、数カ月かけて体外へ排出されるためです。脂肪細胞を破壊する医療痩身には多様な方法がありますが、いずれもリバウンドは少ないと考えられています。
<スカルプシュアー:レーザーで脂肪細胞を破壊する>
スカルプシュアーはレーザーにより皮下脂肪を42℃〜47℃まで加熱することで、脂肪細胞を減少させる治療法です。皮膚に接触する部分には冷却機能が付いており、施術中に熱や痛みを感じることは少ないといわれています。また、皮下脂肪が少ない部位にも照射ができ、皮膚の引き締め効果も狙えるとされています。
<クールスカルプティング:脂肪を凍らせ破壊する>
クールスカルプティングは皮下脂肪がある部位にマシンを装着し、脂肪細胞を冷却・凍結することで除去する治療法です。水の凝固点は0℃ですが、脂肪は4℃で凍結するという凍結温度の差を利用することで、皮膚や血液への影響なしに、脂肪細胞だけを破壊します。施術可能な部位が幅広く、細かいパーツ(あご下など)の脂肪か広範囲(背中など)の脂肪まで対応が可能な治療法です。
<トゥルースカルプ:脂肪細胞を高周波で加熱破壊する>
皮下脂肪が気になる部位に、高周波を照射する痩身治療法です。脂肪細胞を破壊するのに適した45℃以上の温度を高周波により一定時間、安定して保つことで、皮膚や筋肉などの組織への影響なく脂肪細胞のみにダメージを与えることができます。冷えによる代謝力の低下、太ももなどの広範囲のセルライト (凹凸脂肪)などの改善にも効果が期待できます。
<ヴァンキッシュME:マシンが肌に触れずに脂肪細胞を破壊する>
高周波を照射して広範囲の脂肪細胞を減少させる非接触型の痩身マシンのことです。肌への接触なく皮下脂肪だけを加熱・破壊するので、痛みやダウンタイムが少なく施術を受けることができます。また、BMI数値が30以上の人など、通常の痩身マシンでは施術が難しかった人でも治療を受けることが可能とされています。一回の治療で広範囲の脂肪にアプローチができるので、ウエストやヒップ、太ももの部分痩せに適した痩身マシンです。また、非接触型のため皮下脂肪をマシンで挟んだりするなどの必要がないので、脂肪量が少ない体型の人にも対応が可能です。
<インディバ:細胞振動で代謝力アップ>
インディバは高周波エネルギーを体の奥深くまで到達させて体を温めることで、体内の老廃物の排出を促進し、代謝力を上昇させる痩身マシンです。深部加熱によって血行や代謝力が促進するため、全身痩身(または部分痩身)だけでなく、冷え性やむくみの改善への効果も期待できます。痛みや刺激が苦手な方に適した治療法です。
◆医療痩身のマシンについて詳細をもっと知りたい方は
スカルプシュアーで部分痩せができる部位
クールスカルプティングの効果と必要な施術回数・頻度
ヴァンキッシュMEの副作用があるかを確認
内服薬・サプリメントによる医療痩身
〇サノレックス:食欲を抑制するダイエット内服薬
サノレックスは厚生労働省が承認した初めての食欲抑制剤である錠剤です。主成分である「マジンドール」が満腹中枢に作用し食欲を抑制するため、ストレスのないダイエットを叶えます。
また、新陳代謝が促進されるので有酸素運動との組み合わせで、より効率的な痩身を目指すことができます。食欲が抑えられない人や、一度の食事量が多い人など、食事によるダイエットに悩みを抱えている人は、ドクターの診断のもと検討しても良いでしょう。
〇ゼニカル:脂肪吸収を阻害するダイエット内服薬
ゼニカルとはアメリカ食品医薬品局(FDA)=日本の厚生労働省が認可した、安全性の高いダイエット薬です。オーリスタットという有効成分が、リパーゼ(脂肪分解酵素)の働きを抑制するため、脂肪分が体に吸収されず、そのまま便とともに排出されます。
食後1時間以内に飲むだけで食事によって摂取された脂肪分を大幅にカットしてくれる内服薬です。
〇BBX:市販でも購入可能なダイエットサプリメント
コルチゾールの分泌を整えることで食欲を抑制し、摂取カロリーの約50%をカットしてくれるサプリメントです。
コルチゾールとはストレスホルモンとも呼ばれており、コルチゾール値のバランスを整えることがダイエットの成功に大きく関係していると考えることができます。
コルチゾール値が高くなると、イライラしたり食欲に異常がきたすことがあるためです。
ストレスなどによる過食太りや肥満症の方に向いたサプリメントです。
医療痩身とエステ痩身メニューとの違いとは
医療機関でおこなう痩身治療は医療行為となります。そのため、その効果はエステサロンでの痩身施術とは大きく異なります。
医療機関での痩身は医師が体質や肥満度数などを診断したうえで、使用薬剤や痩身マシンなどを選択し、最適な治療がおこなわれます。一方、医師法によりエステでは脂肪細胞への影響は違法行為となり認められていないため、痩身マシンの出力も医療用と比較すると、医療従事者ではないスタッフが取り扱い可能な程度に低い出力設定となっています。
効率のよい全身痩身や部分痩身を目指すには、ドクターによるしっかりとした診断のもと、医療機関による痩身治療を実施することが重要です。また、日頃からバランスのとれた食生活や適度な運動を取り入れ、健康的なボディラインを目指してください。
自分にあった医療痩身を選ぶには
相性の良い痩身治療を選ぶことは理想のプロポーションを叶えるための近道です。自分にあった医療痩身法を選択するためには次のような項目を考えてみてください。
・目指すのは部分痩せか、全体的に痩せることか
・メスを使用する痩身治療に対しての抵抗感は無いか
・目標の日数はどれくらいか
・続けやすい料金設定かどうか
・料金相場は低すぎないか(高すぎないか)
・通院しやすい場所に医療機関があるか
・技術が豊富なドクターが在籍しており、症例も多い医療機関か
・ドクターが自分にあった施術を提案してくれるか
・治療内容の説明は丁寧か
・医療痩身に伴うリスクや注意事項をきちんと把握しておく
医療痩身は施術によって痩身効果を得ることができるため、運動や食事制限などがなく気軽に感じられますが、あくまでも医療行為であるため、リスクはゼロではありません。
希望する施術がある場合には施術内容や料金設定、リスクや注意事項などをあらかじめリサーチし、不安や疑問はドクターに相談・解決したうえで施術を受けてください。
<医療痩身後は適度な運動と正しい食生活でリバウンドを予防>
医療痩身治療は保険が適用されない自由診療が多いため、比較的高額な施術が多いという特徴があります。せっかく高額な痩身治療で脂肪を落としても、偏った生活習慣が続いていると、リバウンドをしてしまいます。
適度な運動や正しい食生活を心がけ、理想的なボディラインを維持してください。
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